記者会見コメント

日   時 平成15年6月25日(水)午前10時30分
会   場 宮城県石巻市役所記者クラブ室
テレビ局 NHK,仙台放送,宮城テレビ放送
新聞社 朝日新聞,読売新聞,河北新報社,三陸河北新報社,石巻日日新聞

全国ペルテス病保護者等連絡会設立
(記者会見コメント)
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全国ペルテス病保護者等連絡会 代表 飯盛由美子
ペルテス病とは,原因不明の血行障害による大腿骨骨頭が壊死におちいる病気で,3歳から12歳前後の子供に好発します。
病気は,大腿骨骨頭の壊死から始まり,次に骨頭壊死部の消滅,そして骨頭の再生という経過をだどります。
治療は,「手術」と「装具治療」に大別され,「装具治療」も片脚だけの「片脚装具」と両脚の「両脚装具」があります。「片脚装具」の場合は,松葉杖を使用して歩行が可能ですが,「両脚装具」の場合は,歩けません。治療期間は,個人差もありますが,2年から6年位です。
私の娘(小学2年)は,平成14年2月28日から左脚ペルテス病治療のため宮城県拓桃医療療育センター(仙台市太白区秋保)に入院中で,学校はセンターに併設されている宮城県立拓桃養護学校に通っています。
治療は,「両脚装具」で,両脚を左右に開き骨頭部分を骨盤に組み入れ装具で固定するもので,膝も曲げることも,立つことも,歩くこともできません。パンツやスカートをはくとき,トイレのとき,夜寝るときもこの装具は外せません。唯一外せるのは,お風呂に入るときだけです。日常生活は「ペルテス車」という特製の車イス生活を余儀なくされております。
入院したとき,先生から「2・3年位掛かる」と言われました。年単位という長期にわたり,車イス生活を余儀なくされる「事実上の障害者」でありますが,「治療中である。治る。」という理由から障害者手帳の交付は受けられません。
私は,毎週金曜日,バスと電車を利用し,車イスの娘を拓桃センターから石巻まで連れて来ます。娘と車で出かけるとき,駐車場に困り,平成14年6月に石巻警察署長から「駐車禁止解除」の許可をいただきました。しかし,この許可は許可した署長の管轄内だけということと,病院の送迎だけ,という条件付でした。
私は,娘が人間形成期における幼児期という大事な時期で,一週間のうち,月曜日から金曜日まで,拓桃センターで生活し,この間は,ほとんど外出することや外部の人と接する事がないため,家に帰ってきたときは,できるだけ娘を連れて外出するよう心掛けております。このようなことから,警察署長の許可だけでは不便なので,平成14年6月に,宮城県公安委員会へ娘のような車イス生活を余儀なくされる「事実上の障害者」が車を利用するときも,県道路交通規則で障害者手帳の交付を受けている人で歩行困難な人が適用になる「交通規制の対象から除く車両」に該当なるよう要望しました。
回答は,「除外車両については,他の都道府県公安委員会でも同様の規定で設けられており,現状では本県のみの判断で適用範囲を拡大することはできません。」ということでした。それならば,福祉先進県を提唱している「宮城県」の公安委員会として全国に呼び掛け一日も早く「改正」を実現させていただきたい,また,改正に時間が掛かる場合は宮城県内だけでも「事実上の除外車両」となるよう,例えば,一箇所の警察署長の許可を取れば県内全域で「駐車禁止解除」となるよう,規則の改正を要望しました。
最終的には「規則の制定・改正等については,公安委員会の権限に基づき行っている。改正予定はない。他の公安委員会に呼び掛けることも考えていない。署長の権限は法の定めにより,他の警察署管内に及ばないとされていることから,要望には応えかねる。」というものでした。
この他,石巻税務署や宮城県道路公社へも障害者手帳の交付を受けている人と同じ様な扱いになるよう要望しましたが,「ならない」という回答でした。このように,車イス生活を余儀なくされながら,不便を強いられております。
私達夫婦は,「年単位という長期間,障害者手帳の交付を受けている人と同じ状態であるのに,どうして同じ制度をうけられないのだろう。」という素朴な疑問を持ち,要望を行ってきました。
小学校入学を目前にして,単身入院せざるを得ない娘と離れて生活することは親子共々辛いものがありますが,娘の入院により,人として,親として,多くのことを学ぶ事ができ,これも「ペルテス病」のおかげさま,と感謝しております。このような中,インターネットを通じ,他にも私達と同じよな思いをしている保護者の方々がいることを知り,何とか「ペルテス病」のお役に立ちたい,という気持ちから「ペルテス病の子供や保護者が生活しやすい環境をつくろう」と拓桃センターや国立療養所西多賀病院やインターネットで出会った保護者の方に呼び掛け「全国ペルテス病保護者等連絡会(略称「ペルテス会」)を結成しました。
会の具体的な活動は「生活における工夫等の情報交換」そして「国等関係機関への要望」です。現在,ペルテス病の保護者(OBも含む)や体験者を対象に会員を募集しております。一人でも多くの会員を募り皆で力を合わせ,一日でも早く「生活しやすい環境を実現できれば」と考えております。
ペルテス会の活動が,現在,そしてこれから先ペルテス病と闘うご家族のお役に立てればと願っております。
去る6月21日にペルテス会のホームページを開設いたしました。記者クラブの皆様におかれましては「ペルテス病」の実情をご理解いただきまして,是非,全国のペルテス病と闘っているご家族の皆様に「ペルテス会」の設立をお知らせいただきますと共に,今後ともペルテス会のため,ご協力くださいますようよろしくお願いいたします。